「市場の柵の中には、たくさんの馬が並んでいました。
間もなく命を取られてしまう馬たちです。
みんな、悲しい目をしています。サダさんはとても胸が苦しくなって、立ち去ろうとしました。
その時、一頭の馬と目が合いました。
サダさんをじっと見つめています。
サダさんは、市場の人に「あの馬は、どんな馬ですか?」と尋ねました。」(本書より)
人間のつごうで
命をうばわれる運命にあった白馬と
ひとりの調教師が起こした
奇跡の物語。
福岡の郊外にある牧場で起きた
感動の実話をもとに描かれた絵本。
さく・くが ともみ
1960年福岡市生まれ。福岡県糸島市在住。高校卒業後、渡米。帰国後、専門学校の講師、非営利団体やCATV局の国際部勤務を経て、福山智美(Tomomi)の名で、福岡のラジオ局で様々な番組を担当。現在はフリーランスのMCとして国際会議やイベントの司会、日英のナレーター、通訳・翻訳業を営んでいる。また、地域活動を通して英語教育の推進や「いのちの大切さ」を共に考える行事等の企画・運営をおこなっている。
え・イシイ ヒサトシ
うきは市(旧浮羽郡)吉井町生まれ、福岡市在住。デザイナーを経て、テレビCM、M-crip、Cinema、DVDなどの監督&シネマトグラファー。
◎あとがきより
「新郎新婦を馬車に乗せて運ぶ、美しくて凛々しい白馬。私は、まさかその馬が、食肉として命を奪われる寸前に助け出されていたとは想像もしませんでした。白馬の家族である「キャリッジプロジェクト」の代表・貞松和彦さんは馬をこよなく愛する人です。その深い愛情と高い調教技術で、これまで何度も、食肉市場にいる馬たちに新しい生き方を提供してきました。そしてある時、貞松さんが救った馬が、新たな命を宿していたという奇跡が起きました。この実話をどうしても世に伝えたかった私は、パーソナリティーを務めていた地元のラジオ番組で「奇跡の白馬」として紹介しました。その放送は大きな反響を呼び、親しくさせていただいている制作会社が動画にしてYouTubeチャンネルで広めてくれました。すると有り難いことに、視聴者から「本はないのですか」という問い合わせを多くいただき、この絵本を作る決心をしました。