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画・甲斐大策

「織部好み」の謎を解く

古高取の巨大窯と桃山茶陶の渡り陶工
小山亘[著]
本体:2300円+税

発掘からわかった〈ヘウケモノ〉の真実――。
福岡藩祖・黒田官兵衛とその子長政が築いた
高取焼の古窯・内ヶ磯窯。
全長46・5メートルという未曾有の規模を誇ったこの登り窯から、
稀代の茶人・古田織部好みの歪んだ茶陶が大量に出土した。
開祖であるはずの朝鮮陶工・八山らが用いたとは考えられない成形、釉薬、焼成、
そして美濃や備前、萩や唐津と酷似する意匠と、
器に刻印された数々の「窯印(かまじるし)」…。
国内各地を遍歴しながら、桃山の美を極めんとした
伝説の陶工集団の姿を浮き彫りにする労作。

紹介情報はこちら

[もくじ]
序 章 古高取との出会い
 古高取の衝撃
 先達との出逢い
第一章 織部の隠し窯
 高取焼の誕生
 内ヶ磯窯と京三条「せとものや町」
 高取焼研究小史
 覆された通説 
 美濃、唐津、上野の古窯と相似
 「李朝風雑器」の宅間窯、「和風茶陶」の内ヶ磯窯
 楽山先生の遺言
 長時間焼成の窯
 朝鮮陶工と高取の釉薬
 八蔵親子の蟄居と空白期の謎
 高取に下った陶工
第二章 共振する〝至芸〟
 初窯土産
 初窯で焼かれた水指と壺
 古唐津のような古高取
 籾殻痕と窯変
 〝焼き損ない〟の名品
 「唐津もの」
 窯の成り立ちと〝窯糞〟
 美濃、伊賀と内ヶ磯窯
 「破袋」と「からたち」の焼かれた窯 
 特殊な窯詰め
第三章 巨大窯の推進者たち
 古高取の名物茶入
 古高取と大徳寺
 江月と茶入「秋の夜」
 織部好みと秀吉
 如水好みの意匠 
 博多の豪商・神屋宗湛の日記
 唐津藩浪人・五十嵐次左衛門の登用
 美濃茶入と〝同工異曲〟
 「三条之今やき候者共」 
 「ヘウケモノ」登場 
 「ヘウケモノ」の水指と窯印
第四章 謎の陶工・別所吉兵衛
 伊賀焼の指導者
 窯印目利歌
 吉兵衛と茂右衛門 
 吉兵衛の出自
 吉兵衛の窯印
 「二」印茶入と轆轤目
 「二」印の志野茶碗
 陶工の指紋 
 「二」印の〝点と線〟
 「せとものや町」界隈の出土品 
 窯道具は語る
 珍品の船徳利 
第五章 織部六作
 織部六作 
 「丁」印、有来新兵衛
 「○」印は〝耳付〟の宗伯
 京瀬戸の名工、光存 
 〝にせもの上手〟竹屋源十郎
 薄作りの水指
 様々な意匠の釜
 「唐物」上手の万右衛門
 高取に下った茂右衛門 
 「是今の名人」弥之助
第六章 窯大将・弥之助と「織部高取」
 伊部の大窯と内ヶ磯窯
 黄金色の窯変と「王」印
 内ヶ磯窯の窯大将
 茶陶の〝痕跡〟と窯籍
 「瀬戸六作」の名工・加藤宗右衛門
 個性溢れる陶工集団
 遠州茶入が焼かれた窯
 白旗山窯と意匠の変化
 古高取と遠州高取
 黒田藩と織部流
終 章 「王」印の謎を追う
 Ⅰ 「王」印は誰のものか
 Ⅱ 「念八」茶碗の謎
 Ⅲ 「王」印の茶陶とその陶工をめぐって
 Ⅳ 「王」印の割高台茶碗について

[著者]
小山亘(こやま・わたる)
昭和34年(1959)、東京都の生花店に生まれる。幼少時より家業の関係で「電力の鬼」と呼ばれた松永安左エ門(耳庵)や田辺茂一(紀伊國屋書店創業者)など、茶陶に造詣の深い多くの先達と出会い、その影響下に育つ。育英高専在学中、教師の勧めで備前焼の二代目藤原楽山(岡山県指定重要無形文化財指定保持者)に師事、その陶技と桃山茶陶にまつわる多くの伝承を授かる。平成11年(1999)、移住した直方の地で古高取の実物を見て以来、その魅力に惹かれる。以降、古高取と桃山茶陶に関する実践的研究を続け、今日に至る。

[判型・ページ数ほか]
刊行:2014年9月30日
判型:四六判上製
ページ数:264ページ

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