福岡が生んだ日本を代表する洋画家・野見山暁治さん(96)。
その野見山さんが中学生のころ、飯塚から八木山峠を越えて自転車で通ったという
福岡の老舗画材店「山本文房堂」。
会長の的野恭一さん(86)は、同店の二代目として
野見山さんの画業を縁の下で支えてきただけでなく、
福岡の画家やデザイナーにとって欠かすことのできない画材を提供し、
また野見山さん単独で審査員を務める「サムホール展」を二人三脚で27年間続けてきました。
本書は、そんなお二人が、戦前の福岡の街のこと、大空襲の記憶、
画材と文化、地元の画家のこと、そして野見山さんの奥さまが営んだ中洲の名店「みつばち」の思い出まで、
半世紀以上にわたる交流をふりかえる対談です。
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ご購読いただければ幸いです。
『絵描きと画材屋 〜洋画家・野見山暁治と山本文房堂・的野恭一の50年』
(聞き手・井口幸久/A5判フランス装/160ページ/本体1700円+税)
目次:
福岡大空襲の記憶
戦前の文房堂
「山本」がついたのは戦後から
「何と絵描きの多い町だろう」と思った
文化なんて余計なものだった
金は出してくれたけど……
後藤新治氏渾身の「野見山暁治年譜」
タケミヤ画廊と北荘画廊
度胸も頭も良かった父
炭鉱は怖かった
京子夫人とクラブ「みつばち」
「みつばち」の裏口
驚きの記憶力
「あれは僕のネクタイ」
日本の色、フランスの色
立ち見のできない映画館
同じ色は二度とできない
油絵の具と「立体」の文化
絵に表れる「生活」
「やってみる」ことの強さ
絵のままの風景
日本人が突き当たる壁
ニュアンスを察する文化
文章と挿絵について
「用途を持つ絵」は面白い
椎名さんの日本語
「サムホール展」の始まり
審査現場で起きること
「おじさん、サムホールって何ですか?」
インスタントな時代
本当に描きたい人のためのコンクール