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画・甲斐大策

ボクシングと大東亜[重版出来]

東洋選手権と戦後アジア外交
乗松優
ISBN978-4-907902-11-7
本体:2200円+税

書評続々!朝日新聞読売新聞、毎日新聞、日経新聞週刊文春、週刊新潮、文藝春秋、共同通信ほか)

鉄道王・小林一三の実弟にして「聖地」後楽園を率いた国粋主義者、
稀代のフィリピン人興行師と共に暗躍した元特攻ヤクザ、
キリスト者として平和の架け橋となった最強の東洋王者、
メディア王・正力松太郎、そして昭和の妖怪・岸信介など、
テレビ史上最高視聴率96%を記録した
戦後復興期のプロボクシング興行の舞台裏で
見果てぬアジアへの夢を託して集った
男達の実像に迫る、〈もうひとつの昭和史〉。

関係者の証言や資料をもとに、大戦中100万人以上が犠牲となった
フィリピンとの国交回復をめぐる葛藤と交流の軌跡を描いた力作。

(巻末に日本ボクシングの父・渡辺勇次郎の遺稿「廿五年の回顧」を収録)

◎主な登場人物
【ボクサー】
渡辺勇次郎、岡本不二、ライオン野口、ピストン堀口、白井義男、金子繁治、三迫仁志、ファイティング原田、矢尾板貞雄、勝又行雄、沼田義明、藤猛、ダニー・キッド、フラッシュ・エロルデ、レオ・エスピノサ、ラリー・バターン、サンディ・サドラー、ダド・マリノ、パスカル・ペレス、エデル・ジョフレほか
【興行師・トレーナー・活動家・政治家】
田辺宗英、真鍋八千代、小林一三、正力松太郎、ロッペ・サリエル、ジョー・イーグル、瓦井孝房、田岡一雄、嘉納健治、阿部重作、レイ・アーセル、サム一ノ瀬、スタンレー・イトウ、ラルフ円福、カーン博士、エディ・タウンゼント、中村信一、野口進、岩田愛之助、末永節、児玉誉士夫、小佐野賢治、許斐氏利、岩田幸雄、岸信介、ダグラス・マッカーサー、ラモン・マグサイサイ、マニュエル・ケソン、エルピディオ・キリノ、ベニグノ・アキノ、ほか

【目次】
序 章 忘れられた栄光

第一章 「帝国」の危機とスポーツ
  一 ボクシングを通じた「東洋」の再編 
  二 大日本帝国体制下の東亜競技大会、極東選手権大会 
  三 大英帝国を「延命」したコモンウェルス・ゲームズ

第二章 日比関係はいかにして悪化したか?
  一 反日感情の源泉 
  二 占領政策の失敗 
  三 悪化する対日感情 
  四 「大東亜」の死と再生

第三章 興行師たちの野望とアジア
  一 大東亜共栄圏なき時代の「東洋一」 
  二 ロッペ・サリエル――アジアをつないだ希代の興行師 
  三 瓦井孝房――周縁に生きる顔役

第四章 テレビ放送を支えた尊皇主義者
  一 テレビ時代の幕開け 
  二 日本テレビの目論見 
  三 田辺宗英――聖地・後楽園を率いた憂国の士
 
  四 勤皇・愛国主義の再生 
  五 ライオン野口と愛国社――大統領に招かれた国粋主義者

第五章 岸外交における露払いとしての東洋チャンピオン・カーニバル
  一 東南アジアへの回帰 
  二 岸外交、二つの課題 
  三 外貨不足とカーニバルの開催

第六章 ボクサーにとっての東洋選手権
  一 科学技術と戦後日本 
  二 白井義男――「日米の合作」によって生まれた日本初の世界王者 
  三 アメリカの代理人としてのフィリピン 
  四 「科学的ボクシング」への道 
  五 沼田義明と藤猛――「国産」チャンピオンの誕生

第七章 戦後ボクシングと大衆ナショナリズムの変容

終 章 「大東亜」の夢は実現したか?

●本書「序章」より・・・
「一九五〇年代に日比(日本―フィリピン)選手間で争われた東洋選手権のうち、半数以上の試合が五千人を超える観客動員数を記録している。一九五五(昭和三〇)年、日本テレビの中継による白井対ペレスの世界フライ級リターンマッチが、テレビ史上の最高視聴率九六・一%を記録したように、ボクシングは文字通り、日本国民挙げての一大関心事だった…戦争犯罪が裁かれ、賠償交渉が難航している最中に全盛期を迎えた東洋選手権は、時代の端境期に咲いた徒花のようであった。ただし、季節はずれの花が実を結ばないのとは違って、東洋選手権は日本政府ですら手が着けられないほど傷ついた信頼回復に、民間レベルで寄与した。…では一体、いかなる社会条件が重なって、アジアを舞台にしたこの国際スポーツ興行は成立していたのだろうか。」

著者略歴:乗松優(のりまつ・すぐる)
1977年、愛媛県松山市生まれ。九州大学大学院比較社会文化学府修了。博士(比較社会文化) 現在、関東学院大学兼任講師。専攻:スポーツ社会学、カルチュラル・スタディーズ(文化研究)

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